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コードとノート:設定ファイルの整理

2026 OpenClaw SOUL / MEMORY / IDENTITY:永続コンテキストと VNC リモート Mac 編集チェックリスト

· 約 15 分

OpenClaw が動いても、トーンがブレたりセッションを跨いで「忘れる」ように見えたり、マルチプロジェクトでコンテキストが混ざる場合、原因はしばしばモデルではなく人格・記憶ファイルの切り分け不足です。本稿では SOUL・MEMORY・IDENTITY の役割、推奨される読み込み順SecretRef や多プロジェクト分離との境界、そして macOS の権限ダイアログやブラウザコンソールを同時に見られる VNC デスクトップでの編集チェックを整理します。関連:SecretRef 監査、よくあるエラー 10 解、v2026.4.5 doctor 記事。

ファイルごとの役割

2026 年時点ではモデルやプラグインの更新が速い一方で、「誰として応答し、何を覚え、何を拒否するか」をプロンプト一発で握るのは限界があります。SOUL / MEMORY / IDENTITY を分けることで、Git や社内 Wiki と同様に差分レビュー・ロールバック・権限分離がしやすくなります。特に複数チャネル(Telegram・Web・cron)をまたぐと、IDENTITY と SOUL の境界が曖昧だとトーンだけでなくツール実行ポリシーまで混線します。

SOUL:価値観・口調・拒否境界(生パスワードを求めない、破壊的コマンドを勝手に走らせない等)。セッションを跨いで真であるべき原則のみ。

MEMORY:長期の事実・用語・リリース周期。API キーは書かず、SecretRef 名やポインタのみ。

IDENTITY:対外名・チャネルごとの人格差。SOUL の繰り返しを避け短く保つ。

目安の順序:IDENTITY → SOUL → MEMORY。バージョンアップ後は openclaw doctor で canonical パスを確認してください。

実務でよくあるのは、製品説明の長文を MEMORY に貼ること、SOUL に顧客固有名と契約金額を書くこと、複製インスタンスで MEMORY を共有することです。長文は Wiki・公式へ、機微はチケットへ、共有はインスタンス単位で切る、が解消の型です。

判断表

論点三ファイルで代替してはいけないもの関連記事
秘密情報MEMORY に SecretRef 名のみ平文トークンSecretRef 監査
SkillSOUL でツール許可の枠チュートリアル全文を MEMORY にSkill 市場
多クライアントインスタンスごとに分割共有 MEMORY多プロジェクト分離
障害・挙動不審MEMORY に doctor 要約のみログ全文を SOUL に貼るエラー 10 解

切り分けの早見:やっていいか → SOUL、事実は何か → MEMORY、名乗りとチャネル → IDENTITY。混在させると diff とロールバックが苦しくなります。

症状対照:どのファイルを先に直すか

「動くがおかしい」フェーズ向け。《よくあるエラー 10 解》はインストールとプロセス寄り、こちらは方針と記憶の一貫性寄りです。VNC で会話ログと並べて確認してください。

症状先に見る典型原因対応
同じプロンプトで人格・敬語がブレるIDENTITY と SOUL の口調重複形容詞の衝突、長短の偏り口調は SOUL に集約、IDENTITY は名称とチャネルだけ
古いパスや担当を主張し続けるMEMORY の鮮度とコピーインスタンス複製で旧 MEMORY 混入パス文字列を全文検索、canonical は 1 つに
ツール呼び出しがポリシーを超えるSOUL の境界アップグレードで Skill 既定が拡張doctor の enabled を確認、確認必須操作を SOUL に明記
応答に秘密らしき断片MEMORY の平文.env をそのまま貼付キーローテ、SecretRef 化、MEMORY は参照名のみ

大きなバージョンアップ後の最小マージとロールバック

2026 年も OpenClaw はcanonical パス・enabled・プラグイン既定が動きやすいです。バイナリだけ上げて三ファイルを放置すると、「実行環境は新ツール許可、SOUL は旧世界」のポリシードリフトが起きます。大版の前後は:三ファイルを Git か zip で退避 → リリースノートの tools/permissions/Gateway の breaking を読む → openclaw doctor を実行し、三ファイルに関係する警告行だけをチケットに貼る(ログ全貼りは SOUL にしない)→ SOUL に禁止・確認ルールを追記、MEMORY にポート・コンソール URL・合意パスを更新 → VNC で実アカウント回帰(送信、Skill 1 回、ブラウザコンソールのネットエラー確認)。

ロールバックは、会話の越権ならまず SOUL を戻し、事実誤りによる誤操作なら MEMORY を優先。戻した後も doctor を再実行。secrets の plan/apply を使うなら、チケットに方針ファイル版と secrets 版を別列で書き、片方だけ戻す事故を防ぎます。

時間課金のリモート Mac では、三ファイルが回収ディスクにしか無いと人格ごと消えます。オブジェクトストレージや私有 Git へ同期する姿勢は、クラウド Mac・データ記事のエクスポートと同様です。

7 ステップ

1

バージョンと canonical ルートを固定

openclaw --versionopenclaw doctor。v2026.4.5 記事のパス収束に合わせる。

2

IDENTITY を短く

名称+チャネル差分。多言語なら既定の応答言語を一行で。

3

SOUL は拒否とコンプライアンス優先

勝手な外部メール、無言のファイル読取など禁止事項を列挙。

4

MEMORY は事実のみ

リポジトリ根、リリース周期、用語集。秘密は SecretRef 名だけ。

5

VNC の GUI エディタで UTF-8

Windows 由来の BOM/CRLF でパスや shebang が壊れないよう注意。

6

回帰

同一プロンプトを二回。トーンと事実の両方が揃うか。

7

チケットと監査

PR または添付で差分を残し、secrets plan/apply の記録と突き合わせる。

VNC チェック

VNC セッションでは Finder、テキストエディタ、ブラウザ(Gateway のコンソール)を横に並べ、権限ダイアログがどの操作に紐づくかをその場で確認できます。SSH のみだと、macOS の TCC ダイアログに気づかず半端な許可状態が残り、SOUL に書いた「録画しない」方針と実機の許可が食い違うことがあります。

  • □ パスがインスタンス根に一致、重複コピーなし
  • □ MEMORY に平文キーなし
  • □ SOUL の禁止事項がチーム方針と一致
  • □ Web コンソールに設定ロードエラーなし
  • □ 多プロジェクト時は作業ディレクトリと MEMORY の記述が一致

原則と FAQ

原則:ファイルは小さく。長文ドキュメントはブログや公式へ。
原則:大バージョンアップのたびに三ファイルをバックアップし、Breaking のうち「ツール境界に効く行」だけを SOUL に要約する。
原則:VNC で「設定フォルダ・Gateway コンソール・ドキュメント」を並べると、SSH 単独より権限ダイアログの取りこぼしが減ります。

MEMORY を生成器で一括生成してよい? 下書きにはなるが、機微と古い事実は人間が削除する。

チームで同時編集する場合は? Git や社内リポジトリで PR レビューし、チャットに全文を貼らない。OpenClaw の設定根が複数ある場合は、どのインスタンスがどの MEMORY を読むかを表にまとめるとミスが減ります。

Gateway を外向きに出している場合は、SOUL に「外部から到達する URL の範囲」と「Webhook を誰が発火できるか」を短く書いておくと、後から読んでも運用が追いやすいです(詳細は Gateway 逆プロキシ記事と整合)。

リモート Mac を時間課金で使う場合、インスタンスを止める前に三ファイルと secrets 監査ログをオブジェクトストレージへエクスポートしておくと、次のノードで同じ方針を再現しやすくなります。手順の骨子は本ブログの「クラウド Mac・データバックアップ」記事と共通です。

まとめ

Windows/Linux からトンネルだけ使う構成では権限やブラウザ挙動が本番の macOS とずれます。GUI とキーチェーンを含む VNC リモート Mac 上で三ファイルを保守すると、OpenClaw の実運用に近い検証がしやすいです。ハード購入なしでフル macOS が欲しい場合は VNCMac のノードとヘルプの接続手順が実務的です。

フル macOS で OpenClaw 方針を反復